この記事について
金剛合掌は、仏教の密教で用いられる基本的な手印です。仏と衆生の一体感や、仏の加護と智慧を意味します。この記事では、金剛合掌の意味や方法、効果についてわかりやすく解説します。
金剛合掌とは

金剛合掌とは、特に密教(秘密仏教)で用いる基本的な印相(いんぞう)、ムドラーのことです。
万能の印ともされ、密教における敬礼法の一つです。
左右の掌を合わせて両手の指頭を交差させ、右手の親指が最も自分に近いようにします。
私たち現代人が時間に追われ過ごす日常生活とは、忙しいスケジュールとストレスに満ちた「物質的な世界」です。
しかし、仏教では心を静めることによって「内なる平和」(安らぎの世界)が心の中にあることを説きます。
つまり、極楽浄土や密厳浄土(みつごんじょうど)がぞれぞれの中にも存在します。
そこで、密教では、「金剛合掌を結び、真言を唱え、心に仏を観想する」という特別な方法(三密観)によって心の安らぎ(精神的な世界)に至ります。
金剛合掌の効果
金剛合掌は、右手は仏を表し、左手は衆生を表します。両手をしっかりと組み合わせることで、仏と衆生が一体となり、仏の加護と智慧を得ることができます。
金剛合掌の効果を要約すると、以下のとおりです。
心の安らぎ、悟りへの道、仏の加護です。
具体的な方法
前述にも触れたように、金剛合掌は両手を胸の前で合わせる際に、指先同士を深く交互に組み合わせます。
これにより、仏(右手)と自分(左手)とが深くつながり(瑜伽:ゆが=結びつく)、物質的な世界から解放され、精神的な世界に移行します。
そして、真言を唱えることで、精神的な世界への流れが加速します。
真言は、特定の音節や言葉を繰り返し唱えることによって、心を浄化し、気持ちを落ち着かせる働きがあります。
また、真言は単なる音の反復ではなく、音の響き自体に神聖な力が宿っていて、心に本来の静けさをもたらします。
さらに、心に仏や浄土を瞑想することで、心の奥深くに眠っている「如来蔵」(にょらいぞう)という秘密の扉が開きます。
※ 如来蔵とは、すべての衆生に具わっているとされる悟りの可能性のことです。『如来蔵経』に説かれています。
仏と衆生それぞれの「身口意」が合わさると、私たちはとても不思議な神秘的な世界を体験します。
心を静め、内なる世界に目を向けることで、日常の煩わしさから解放され、自己の内面に隠されていた光が輝きます。
すると、心の奥に眠る無限の可能性が目覚め、人生を思い通りに生きることが可能です。
まとめ
金剛合掌は、仏教の教えを体現する重要な手印です。日常生活の中で金剛合掌をすることで、仏の加護と智慧を得ることができるかもしれません。
この記事を読んで、何か特別なものを感じられた読者の方は、ひょっとしたら仏性が目覚め始めているのかも知れません。
新たな気づきを得るために、まずは「金剛合掌」「真言」「瞑想」のいずれかに興味を持たれ、いろいろと調べてみてはいかがでしょうか。
合掌 天宮光啓

印相(いんぞう)
ムドラーの訳で〈印契:いんげい〉〈密印:みついん〉ともいい、略して(印:いん)という。また、音写して〈母陀羅:もだら〉ともいう。
密教では行者が本尊に印相をむすぶことによりその尊核との身体的同一を達成する身密行:しんみつぎょうとして重視された。
真言とともに用いるときは〈印言:いんごん〉という。印の結び方には〈十八印〉(十二合掌)(六種拳)などがあるが、秘密性を保つために、左右の両手(定慧:じょうえ)、各指(地・水・火・風・空の五大)に特有の名称をあてることもある。→三密。
「印相」. 中村元.『仏教辞典苑』第 二 版. 岩波書店,2002,p.58.
ムドラーに関しては、越法罪(越三昧耶)があります。ゆえに、詳述できないこともありますが、これからも皆さんがいつも仏様と共にあることをお伝えできればと思います。